もう一度マクドナルドで働きたい

私は11月3〜4日で、名古屋に行っていた。
目的は人に会うためだ。それもちょっと特別な思いがこもっている。

過日、「クルー満足度84%」について記事を書いた。それは社内で定期的に行われる「ピープルサーベイ」という労働者に対する意識調査のやり方について私なりの考えを纏めたものだが、このところ「本当に84%のクルーが満足しているのだろうか?」と思わせるような出来事が私の周りでは起こりはじめている。だからこそ、日々楽しく働ける事を今追求していくタイミングだと強く思っている。

広告に書かれた84%よりも、現場の「声」こそファクト感がある。

今回の名古屋訪問は、二人のクルーとお会いするのが目的だ。
そして、その二人に共通するキーワードがある。それは…

復活

一人目のクルーは二年前の春に卒店して、新卒で就職。社会人として活躍していた。
そしてその後結婚し、出産のために産休をとられた。
会社をお休みしている間だけ、マクドナルドでもう一度働きたいという本人の熱い思いが叶い、この度期間限定で「復活」を遂げたのだった。

私はこのクルーとは、卒店の時にお会いしていた。日頃の功労の証として、ポテトクッションを贈呈したのを昨日のように覚えている。そしてその後、ある事を悔やんだ。それは実際に働いている姿をちゃんと見ていなかったこと。店で輝く姿を二度と見ることができない…そう思った時に、ちょっとした後悔が残った。
それが今回、期間限定とは言え、もう一度店に立つと聞き、私の心は躍った。

店に着き、すぐにそのクルーを見つけることができた!
SW(スウィングマネージャー)で卒店していたが、復活後も凛々しいマネージャーユニフォーム姿だ。そして活躍がよく見える席で、パフォーマンスをとくと拝見した。
私の感想は「素晴らしい」の一言だ。ブランクがありながら、ブレなくキビキビと、しなやかに働いている。CREWのフォロー、OT、プレップ、バギングと、何でもこなし、他のメンバーをリードしていく。そしてDPSで見せるスマイルは最高の癒しだ。

その姿はあたかも「店長」のような存在感である。何より身体中から醸す「自信」が私にも感じられた。頼もしいマネージャーとしての姿を再び見ることができて、この上ない歓びとなった。

この方は、就職された後も、「マクドで働きたい」と、強く想い、SNSなどでも呟いていた。それは現実逃避したいとかそういう気持ちではなく、もう一度あの輝かしい時間を…というパッションに近い想いだろう。そして、復活が決まった時に、私にそれを知らせてくれた事が嬉しいし、それだけ本人としても、喜ばしい事だったのだろう。

20181105a

地下鉄に乗り、次の店へ向かった。
その店に着く頃には、雨が本降りとなってしまった。

こちらの店舗にも、二年前にやってきていた。
私を懇意に思ってくれているクルーがたくさん在籍している店で、私も皆に会いたいという気持ちから、新幹線に乗って名古屋に向かった。
しかし、私は店を訪れる際に、初回は「予告無し」というのが流儀だったから、その臨店の時は誰にも会えなかった。予告しない理由は、変に構えて欲しくないからだ。ありのまま、いつも通りの姿を拝見したい。それが仇となってしまったというわけだ。

月日は流れ、そのクルーたちはみんな卒店してしまった。
懇意にしてくれていたメンバーは、実際にお会いすることなく、活躍をこの目で見ることもなく、巣立っていってしまった。

自分の不甲斐なさを憂いだが、ある知らせを受信した。

そのクルーは遠方で就職して働いていたのだが、今年多発した未曾有の自然災害で職場が羅災。退職を余儀なくされてしまったそうだ。名古屋に帰郷し、やはり期間限定ではあるが、マクドナルドで働くというのだ。
私は一度もお会いしていなかったそのクルーの活躍を今拝見できる、幻となっていたそのクルーの復活を心から嬉しく思い、今回優先的に予定を組み、今日の臨店を実現した。

SNSで見つけるそのクルーの印象は「ハッピースマイル」だ!ユニフォーム姿の写真はいつもいい顔で、まさにハッピーが溢れるという言葉しか形容のしようが無いほどに楽しそうだ。SNSで私はすでに、その表情から「できるクルー」だという事は予感していたけど、そういう予感をさせる存在感に、魅力を感じていたのかもしれない。

店では昼ピークのランナーをやっているのが見えた。
慌ただしい最中、二度と出会う事がないと思っていた「ハッピースマイル」を見つけた!私は長い間文字のやりとりをしていながら、今日「初対面」のような気持ちになった。そして、また再び巣立っていくそのクルーの活躍を目に焼き付けた。
雨の中、物寂しい心に、温かく微笑むハッピースマイル。ほんの少しだけ目頭が熱くなった。

二人の復活したマネージャー。
共通することは「もう一度働きたい」という強い想いだ。
嫌々ながら仕事していたなら、もう一度働きたいなんて思わないだろう。
管理者としてのやりがい、誇り、そして何より自分が輝ける舞台として、そこにマクドナルドがある。
人生にはいくつもの分かれ道がある。それは時として運命の悪戯のように私たちに降りかかる。二人にとって吉か凶かは私にはわからないが、その運命の悪戯で再びマクドナルドで働けたこと、そしてその姿を応援する客(私)が居ることが、奇しくも、しかしそれは必然な、運命なのかもしれない。
運命の悪戯がなければ、今日ここで二人の復活した姿、活躍を見ることはできなかった。そう思うと、プラウドな気分が私の心を包んでくれる。

帰りの道、駅までの道すがら、私にこう話しかけてくれた。
「私に何かフィードバックをください」

私はそんな事を今日訊かれるとは思っていなくて、またそういう目的でいたわけではない無かったので、フィードバック(評価)とは違う切り口の話をした。

あなたの印象は、ハッピースマイル。
クルーの働きやすさを創るのも、客の心を和ませるのも、それはあなたのユニークな資質であるハッピースマイルによってクリエイトされるということ。それは日々反響し、店という箱に充満し、多くの人々をハッピーにしていくこと。そう伝えた。

20181105b

来春には二人のマネージャーは再び巣立っていく。
またいつの日か、二人に再会できることを願いつつ、これからの人生が豊かになることを願い、新幹線に乗って帰路についた。
そしてまた、こうも思う。

マクドナルドがあるから、二人は人生が豊かになった。

働くことの「満足度」とは数字では表せないところにある。
二人の素晴らしいピープルが多くのピープルを育て、そして後輩がそれを継承していけたらどんなに素晴らしいことか。

マクドナルドでの体験が、これからの人生を大きく変えていく。
二人のクルーからそう感じざるをえない。

【後記】
本当はおふたりのいい顔を皆さんにも見て欲しかったけど、イラストでご容赦頂きたい。