高品質だけど低品質なマクドナルドとは

先日ある店で食事をしていると、商品の中から埃の塊のようなものが出てきた。
私はそれほど重大な品質問題とは思っていなかったが、その塊を受け取ったマネージャーがきっちりと店長に報告していたらしく、後になって連絡が来た。

然るべき部署に調査を依頼したい。

それはそれで宜しいのではないか。お調べなさい。
そう告げたが、事後の調査報告はどうするかと言われるも、別にそれは店の問題であって私はいらないと告げたが、店に届くのでそれは引き渡すという。

それから2週間ほどで、調査報告書が届いた。

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実は数年前、ビッグマックから「赤いレタス」が出てきたことがあり、その時には調べてもらおうということで同様に調査を依頼し、このような結果報告をもらっていたから、今回もさして驚くこともなく、その結果を読んだ。

報告書の封には、先の画像のような様式が2枚入っていただけ。
報告書としての出来栄えは申し分ない。しかし、何かが足りない。
それは「お詫びの心」だ。

顛末、異物の分析、再発防止への宣言はいい。しかし、それを差し出され、もしかしたら口に含んでいたかもしれない不手際については、報告した、紙でお詫びしたでは済まされないのではなかろうか。

もし私が店長ないし品質部門の担当なら、商品代金をお返しするか食事無料券のひとつでも差し上げる。

最近こういう企業の不手際による後処理は、完全にシークエンスがおかしいケースを散見するし、それは失礼千万なこともある。一般的には「商品代金をお返しする」という手順を踏む企業もあるようだが、例えばそれ以上のことはしないと決め込んでいる、というかマニュアル化されているのが殆どだろう。

一食で五百円程度のもので、目くじらを立てているのではない。そういう一連の事務手続きの中で、申し訳なかったという「心」が見えないのだ。

信用を失うのは簡単だ。しかしそれを回復するのは大変。起きたことは仕方ないにしても、極端なことを言うと「異物入りでも食ったものは食ったんだから返金しなくてもいい」という思惑でそれをしたと言われても仕方ないのではないか?

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最近こういった品質問題に関するSNS投稿が増え始めているし、一日でいくつかの投稿を見ることもある。
ここで忘れてはいけないのが、客は「怒っている」という事だろう。ここでもし今回の私のケースのように「ビニル片でした」「虫でした」以上。みたいな手紙が届いたらどうだろう。そんな白いものを見て白いですね!みたいな事を言われて気分が良いのだろうか。そこで例えば「もう一度ご来店頂き私たちを見てほしい」という言葉と「私たちの品質基準に満たない商品のご提供をしてしまったのでお代は頂戴できません」と商品代金を返金する。そこまでして初めて「信頼」というものが回復するのではないだろうか。

ちなみにこれらの事を「してくれ」とは言わない。
言われてするそれになんて意味がないからだ。

ことこういう異物混入とか、品質の問題とは、簡単じゃないのは分かる。そして過去に多くのとんでもない不当要求があったかもしれない。しかし、その積み重ねから生まれるもの、悪辣ではない客が被る過失においては、まさにマニュアル通りではない「真心」が必要だ。

必死になってプロモーションビデオを作ったり、アプリに安心安全の刷り込みをしたりしても、顧客はもうマクドナルドを信用していない。日々の目の前で起きる事が真実であり、それらを覆す事は広告にはできない。最終的には「申し訳ない」という気持ちが足りないんじゃないかなという感情にしかならないのだ。

寛容な心で向かえる私でさえ、この対応シークエンスに問題を感じた。