マクドナルドあすみが丘店で超EOTF体験

暑い暑い8月最初の週末。
出掛ける気力も無くてダラダラしていたけど、以前から気になっていた店をこの目で見たくて真夏の陽射しの中、千葉方面の電車に乗り込んだ。
目指したのは千葉県千葉市に所在する「あすみが丘店」だ。

実はこの店に注目していたのは、新店というだけではなく、様々な新機軸が盛り込まれているからだ。それについては少しずつ書いていく。
まず、この店は2019年6月末にG.Oした出来たてのホヤホヤ。そしてこの店を語る前に、近隣店である「大網街道土気店」の閉店について触れなければならない。

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同店が建て替えるのではなく、少し離れた新しい立地で生まれ変わった。オールドマックは最新の店舗として再びこの地にお目見えしたという訳である。また、今回はショッピングセンターの敷地に建築され、多くの家族連れが来店する、より賑やかな店となった。

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私はJR土気駅からタクシーで向かったが、かなり遠くから大きな看板が見えていて、クルマからも目にとまりやすい好立地という印象。大きな駐車場の一角に新築された建物はとても幅広く美しい。
“McCafe by Barista”の日本国内で100店目という記念すべき店舗で、高々とロゴサインが自己主張しているが、さっそくあるものを見つけた。

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McCafe by Baristaの商品は「店内でのみ提供」という看板だ。
ほれみたことか。以前からクロスセルでガタガタになってしまった展開については何度も苦言を呈してきたが、やはりこういう選択肢を選ぶようになるのだ。お寛ぎを早さでぶっ壊してしまった店をたくさん見てきただけに、ふふんと思ってしまった。

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外見のスクエアな感じからは予想できないゾーニングの店内は、色々と刺激があった。
オーダーカウンターは「なかもず店」「アエタ町田店」でも先行導入されているカフェブースとの並列型でシームレスな動線であり、とても働きやすそうだ。ちなみに、OTクルーが着用しているユニフォームは、新しいバリスタ用のユニフォームである。ネイビーを基調とし、イエローの差し色、サロンエプロンもなかなかかっこいい。そしてクルーの上質なOTに驚かされた。

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RANCILIOのイエローの筐体が目をひくバリスタブース。よく見て欲しいが店作りの小さな工夫もあるし、何よりカフェクルーがとても落ち着き、上品な微笑みの中で、おいしいコーヒーを淹れてくれる。かつてのドタバタはもうそこには無い。そして驚くなかれ、この小さなブースから、あのヒルズ、池上を超える売上をたたき出したというのだ。今まで効率と合理性ばかり追求してきた店よりも、こういった地味でもスタンダードなところに立ち返り、そして腰を据えた展開をすることで、売上がついてくるというロールモデルを築いた。それは今までの既成概念をぶっ壊した。ただ、この店の店長はとてもよく考えて行動している。それは後述する。

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フロアは食事を楽しむであろう席と、喫茶店のようにコーヒーを愉しむであろう席とゾーン分けしている。もちろんどう使っても自由だが、イスやテーブルのデザインにも変化があり、言葉無くとも自然とゾーニングが意識される。こういうスタイルは見たことがない。
バリスタについても、しっかりとテーブルデリバリーしてくれるのがうれしい。

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客席をパーティションで区切っているが、建物中央の大きくとった空間には「プレイランド」がある。
このデザインでプレイランドを持ってきたのはなかなか画期的だ。というのも、このブログでも再三唱えてきたとおり、マクドナルドは今、売上利益の追求に奔走しすぎた結果、子供たちの「いどころ」としてではなく、ひとつでも多くの客席をつくることに特化してきたように思う。それが引き金となって、STARがフロアから姿を消してしまった。つまり今のマクドの「無機質さ」をいちばん象徴する存在となってしまったのだが、同店のように「中央」に持ってきたというのは、きっと閉店した「大網街道土気店」のプレイランドを復活させたいという法人の想いではないだろうか。実際店内に滞在している時間は子供たちが楽しそうに過ごしているようだった。

ユニークさを感じたのはその隣のスペース。
パーティールームかな?と思ったら、こんな看板が…

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なんと「ミーティングルーム」という。
この発想はなかなかおもしろい。もちろんパーティールームとしても使えるし、何か地域の集まりでも利用できるし、子供向けの内装ではないから、会社員がランチミーティングなどでも使うことができるだろう。もちろん予約が無ければ開放して通常通りの客席としても使用できる。ちなみに同店ではクルーミーティングでも利用しているそうだ。

さて、ここからは店舗体験のことを書きたい。
そもそも今日は、同店の臨店は「お忍び」でそそくさと体験して、フェイスブックにまとめて終わりにする予定だった。しかし、店長が挨拶してくださり、しっかりコミュニケーションをとってくださった結果として、急遽ブログを書こうという思いに至った。私の中で良き店とは必ず店長が挨拶をしてくださる。失礼千万な物言いで、客を突き放すようなことをおめおめと発言する店長も多い中で、必ずこの店は「間違いない」と予感させるのは、優秀なRGMが店のコンダクターとなっているということだろう。

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少しボクシングの内藤選手に似たこのお方が店長。
そして素敵な笑みの女性がカフェマネージャー。素晴らしい仕事ぶりに思わずお誘いしてしまった。
日曜日の昼過ぎとはいえ、お忙しい最中に大いに意見交換させて頂いた。その中で強く感じたのは「脱マニュアル」というところだろうか。
ルール、マニュアル、テーゼは必要だけれども、それだけでは進化していかない。日本マクドナルドの創業者である藤田田氏の代から続く法人で、マクドナルドの古き良き時代を知るオーナーの元、管理者はバイトクルーたちに「気付き」を説いている。そう、私が今、EOTFを進めていく上で、いちばんの勘所というか、必要不可欠なものだと唱えているものをしっかりと見つめ、行動している。ここには書く事はできないが、数多くの「気付き」には「さすがです!」という言葉が自然と出てきてしまい、私は立ち話ながらもトリハダが立った。それは良い意味で感激したからこそ。

私のアンテナがピンと来たのは、お隣のカフェマネさんのスカーフだ。今年の秋に全国で一斉に変わるユニフォームが先行して導入されているのだが、カタログ通りの結び方ではなく、ふわっと美しい装いとなっている。「着るホスピタリティ」を体現している人はまず良い仕事をする。おもてなしのプロだなと思ったらまさにその通りだった。カフェマネが上品だと、バリスターもまたとても上質で、気品と気遣いが溢れる。この陳腐化してしまったマックカフェにおいて、豊かな気持ちにさせられる店舗体験は、相当久しぶりで、日々の積み重ね、気付きの研鑽こそがこういう感動を生むものなのだと感銘した。

そう、これを語らずにはいられない。
バリスタブースで発注したケーキセット。「席までお持ちします」というのに、テーブルテントを提供してこなかった。着席して待っていると間違いなく届いたので、思わず「どうして分かったのですか?」と聞いた。

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「お客様の特徴を覚えてご提供しているのです」
ほら来た。この一歩進んだテーブルデリバリー。去年のお盆に臨店した「八戸南類家店」と同じではないか。その感動が一年たった今、私のもとに再来したのだ。
システムは必要。しかしシステム頼りでは、気持ちが入らなくなっていく。そこに「客」という存在があり、客の特徴とか、状況を観察すること、そこからおもてなしが始まる。ことテーブルデリバリーについては色々思うところだが、こんなあったらいいが、まさに実現している。そして、そういうフィールドで働くからなのか、バイトクルーが一人残らずとても上質なのである。「今年はAJCCに参戦しているでしょう」と言ってしまうほどに、優秀な人財に恵まれている。いや、育っている。

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そういう点では、店に入るやずっと「おもてなしリーダー」の仕事っぷりには刮目してしまった。
ただフロアを廻っているだけではない。気付きとコミュニケーションの合わせ技。とてもよく客を見ている。私が臨店し、胡散臭くも店内をウロウロと観察していると、すぐに声をかけてくださり、席をご用意するという。スペシャルなユニフォームの輝きに負けない、おもてなしの深みを私は見つけた。気のせいかもしれないが、いつものクラブハウスサンドがよりおいしく感じた。

そう、私が言う「上辺だけのおもてなし」がマクドナルドの弱点。それは偏に「マニュアル」に頼りすぎたからこそ、残念が蔓延ってしまう。去年の青森での店舗体験、今日の店舗体験に共通しているのは、クルーが自主的に考えて、こうしたらいいという行動を起こしているということ。それをしっかり支える管理者の姿、EOTFとは、それを担う一人ひとりに委ねられている。だからこそ、自分が主人公なんだという強いポリシーが必要なのではなかろうか。

関東にお住まいの意識高いクルーには、ぜひストアツアーしてほしい店だ。
そしてTekina Awordを贈りたい。

■2019年8月5日追記■
土気駅から1.5kmほどある同店。道はわりと起伏が多く真夏に歩くにはしんどい。
経路探索では出てこないバスがあるようなので最寄りバス停の画像をアップしておく。

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