これだから店長が育たない

私は過日、グランドオープン(G.O)した店に行ってきた。
その時のことを今日は書こうと思う。

ちなみに私はマクドナルドの社員でもないし、クルーでもない。だからお金を払い、着席して食事をし、下げ膳して帰る、ただの客人だ。多くの人々と出会うから一応ホリデーであったとしてもビジネスカジュアルで伺うが、名刺交換したりする立場ではない。だからこそ、あくまで「客」としての目線で、マクドナルドの色眼鏡ではない視点での話をしたい。
マクドナルドの常識が、社会の非常識と言われる所以がよくわかる。

朝7時。
新店オープン。わくわくした気持ちで入店…と言いたいところだが、ここから問題が始まる。
この画像を見て欲しい。

20190613a

これは店の正面入口の外観だ。
実はこの写真に写り込んでいる人は全て「関係者」だ。OC(オペレーションコンサルタント:スーパーバイザーのような存在)やら、その上司やら、近隣のフランチャイズ加盟店のオーナー、こういう関係者が入口付近に屯し、客には尻を向けて必死にペコペコして名刺交換をしている。
もし私がこの店の店長なら、新しい店を訪ねてきてくれる客のためにも、こういう邪魔くさい関係者の集団に対して移動してもらうとかの配慮をするだろう。
こういう場面からも分かるが、マクドナルドの客とは、食事にやってくる人ではなく、フランチャイズビジネスでロイヤリティーを払ってくれる加盟店なんだなぁと熟々実感してしまう。それもそうだろう。マクドナルド社員がメシを食えるのは、全体の7割を占めるフランチャイズ加盟店に支えられているからだ。
こうやって「関係者同窓会」のような異様な雰囲気の中、客が置き去りになった新店オープンが始まった。

目新しい店内を撮影し、SNSに投稿しようと思っていたところ、あるスーツの男から声をかけられた。

「今ここを撮影されていましたが撮影はご遠慮願いたい」

お尻でいらっしゃいませの次は何かと思ったら、スマホで私人が撮影する行為を禁じるというお小言だ。
しかしちょっと待って欲しい。周囲を見渡すと、店内を撮影している関係者と思しき面々、客人の姿がほかにもあるが、ここまで客を警戒する真意とは何なのだろうかと思ってしまう。仮にも、新店の情報がSNSに拡がり、そういう口コミでの宣伝効果などは期待していないのかな?と思ってしまうし、このように「余計な一言」で、それがSNSにアップされることが、どれだけマイナスなのかと考えたことが無いのだろうか。それとも、撮影されてはマズいものがそこにあるのだろうか?
そんなに撮影されたくないのなら、店の入口に「インスタ・ツイッターへの投稿は固くお断りします」とでも書いておけば宜しい。

極めつけはこれだ。
店舗体験で気になることがあり、OCをつかまえて意見陳述をした。内容はこうだ。

「テーブルデリバリーの札があるのにやってもらえないのか」
OC「お客様のニーズに合わせてやっております」
「ん?何も訊かれなかったけど?」
OC「ですからお客様のニーズに合わせています」

とまあ、イライラしたのか、雑な回答が繰り出す。
続けてこう訊いた。

「待ち時間がより長いマックカフェではテーブルデリバリーしないのですね」
OC「朝からトラブルが起きていたので今始めました」

なんかこう引っ掛かるというか、客の意見を傾聴したいという意志は疎か、客の毛を逆なでする独特の節回しで淡々と言い訳をする。私がOCだったなら、こう対応するが…

「何かお気づき、お困りの点はございましたか?」

まあいい。おそらくクレームの物言い程度に受け止め、軽く蹴散らそうとでも思っていたのだろう。事実マクドナルドはとんでもない苦情が入りやすい企業だから先入観はある意味仕方ない。
その後不穏な空気感を悟ったのか、そのOCは「一応」の拝聴スタイルで話を聴き取るスタイルにチェンジした。周りをキョロキョロしながらだったので、まともに人の話に集中しているようには思えなかった。

こういう不躾を感じるシーンは、AJCC(オールジャパンクルーコンテスト)でも散見する。特に関係者の団子状態、店の席を占有し、本来の客に迷惑を掛けるとか、そういう配慮に欠ける動作は何も進歩が無い。

ここで思う事がひとつある。
それは、こんな上司が、やれ店長とか、おもてなしリーダーとか、そういう人々を教育しているという事だ。接客業とは思えない失礼千万で、まともな店舗体験さえ創り出せない、ヘタするとバイトクルー以下のビジネスが、何を教えるというのだろうか。
確かにマクドナルドビジネスにおいて、サンドイッチの作り方とか、クレンリネスとか、全てがマニュアル化されてはいるものの、その「オペレーション」をコントロールする人たちの活躍は大きいし意味がある。しかし、偉そうに店でウロウロするくせに、数々の失礼によって客人を小馬鹿にした対応をするとは、ある種の営業妨害なのである。そんな連中が大事な大事な新店オープンの日にやってきて、客の満足度をわざわざ低下させて、物知り顔でいられる神経が私には解せない。

ここまで読んで、まだわからない勘の悪い社員にもう一度言いたい。
学生のバイトクルーよりも、OC含むビジネスの存在は、やればやるほど、口を開ければ開けるほどに、逆効果しか生んでいない。店内をフニャフニャ徘徊してオーナーもそう。他法人の店だったとしても、普遍的なマクドナルドのファンが来店し、お金を落としてくれる。そこに何の感情も見て取れない。そんなことだから、また経営が傾いてくるのだ。

現場にはネクタイこそ締めてくるが、そのネクタイを締め直して、目の前の大切な顧客としっかりと向き合う。そういう精神を忘れたときに、本当の凋落を味わうことになるだろう。

何が“Be Customer”だ。笑わせるな。