バカッターにならないために

マクドナルドって何だろう…そう思った時に、端的に言えば「ハンバーガーショップ」であり、飲食店の一つという感情でしかないだろう。
飲食店であれば、商売としての基本として、売り手と買い手という関係の元に成り立ち、そこでお金を頂戴するものだと、私は思っている。当たり前のことだ。
だからこそ、売り手は客を求める、買い手は対価に相応しい商品を得たいという原理原則の元にそれが成り立ち、売上利益を得るのだと思う。

欲しい奴は来い。
難癖つける奴は来るな。
欲しいなら売ってやってもいいよ。

今、マクドナルドは「売り手側が強い商法」になっていないだろうか。

以前私は、マクドナルドを「食品配給場」だと言ったことがある。
それは多くの従業員から反発を受けた。
しかし、なぜそう揶揄されたかについては、誰も目を向けなかった。
その発端となったのが、これからだ。

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ある店で、3回これが出てきて、最後に撮った写真だ。
大して忙しくもない時間に、こんな粗雑なものを提供してくる店とは、そしてこれを取り揃えた従業員とは、どういう感性なのだろう。
ちなみにこの時はオフラインでこの状況を報告し、改善を奨めたが、他店の従業員と文句大会になってしまった。

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こういうケースもある。
そりゃファーストフードだから、こんなモンでしょ。
と、言えるレベルだろうか。
肝心要のバーガー類に関しても、問題が多いが、今回は割愛する。
こういう商品の提供が、本当に商売として、客を意識した姿なのか疑問がある。本当に客を意識して、喜んでもらいたいと思って、こんな取り揃えができるのだろうか。
もしそうだと思うなら、それは相当に頭が湧いている。

日々、それを実感するのは「ピックアップエリア」だ。
最近は番号札を呼び出すスタイルに変わった店もあるが、基本は商品を取り揃え、それを客に提供する場所のことを指す。
スマイルで商品の差し出しをするのは良い。しかし、手元の商品はあまりにも酷い。
それならまだ救われるが、まるで裁判官のように無表情で番号を呼び上げ、商品の渡しは置いておくだけ。手渡しではない。当然ありがとうでもない。
これだから、食品配給場だと思うのだ。

極端な例えだが、クルマを購入した場合、ピックアップエリアとは納車する大事な場所と同じだ。
支払いを済ませると、整備もままならないクルマが出て来て、鍵を渡したら踵を返してお尻でありがとうございます…。
「そりゃ売ってるものの値段が違うだろ」と言うかもしれない。
でも、値段こそ違えど、先のように取り揃えひとつまともに出来ず、渡すときも仏頂面で、商品の質も低かったらどうだろう。
それこそ出来ないことの言い訳でしかない。

クルマを購入し、初めてキーを回し、それを所有した悦びを最大限に高めるのもまた売り手の心だ。見えなくなるまでお辞儀をしてくれるディーラーの人たちの思いこそ、この磨き上げられたクルマ以上に大切だったりする。

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もちろん、ファーストフードにあって、全客人にお見送りは出来ない。
これはマインドの話だ。

それもこれも、前回の記事にあるように「効率こそキャッシュを生む近道」だからこそ、早さにウエイトを置きすぎて、原理原則が視えにくくさせているとも思える。
そしてこうも思うが、「業界ナンバーワン」としての胡座かきであるとも。

振り返ってみよう。
品質問題があった頃はどうだったのか。
客足が疎らだからこそ、顧客満足は高かった。それは、やりたくても高効率に出来ない故の結果だ。しかし、背水の陣で原点回帰するというのも情けない。
そして忙しさを取り戻し、原点を忘れるのはもっと情けない。

失敗の本質もここにある。
売り手が強い商売を仕掛けるには、相当アドバンテージのある商品、サービスが不可欠だ。
ところが、何かしらのガッカリがあるから、その仕組みが破綻する。
売り手が強いから客の反応を全て「文句」にしか感じなくなってくるのではないだろうか。

よく見かける、オーダー待ちの列から離脱し店から去る客。
何故そうなるのか。
その図式こそ「売り手が強い」姿に他ならない。
来るもの拒まず去る者追わずでは客を失うばかりだ。

さて、この問題を考えるときに、SNSの存在も無視できない。
ブロガーミーティング等で美辞麗句を書き連ねてもらえる情報発信者はウエルカム。
実態的に味や出来栄えにホンネを言う情報発信者はノーサンキュー。
「おいしいに決まってる」の意思固定。
そこにも、買い手よりも売り手が「主導権」を置くという思想を最大限に感じる。
「客の意見は正しくない」という強いポリシーを。

ここである実例を挙げよう。
一応ご本人の名誉のためにアカウントは画像処理をさせてもらった。
本来、自身でやっている事だから、それが公開されたからといって即ち不名誉になるとは思えないが。

私はあるマクドナルドクルーのツイッターアカウントをブロックした。

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それは、影で私(客)の批判ツイートをしていたからだ。
私の経験則上、そのような言動を行うものは後々化けると知っているから、見切りをつけての事だった。
しかし、驚いたのはその後だ。
ブロックしたアカウントの主が、サブアカウントで再びフォローリクエストをかけて来たのだ。

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初めはどういう意図なのか知らなかったが、ある書き込みを見てそれを知ることになった。

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当人の考えは、ブロックされたから別アカウントでフォローする「イタズラ」のようだ。
やりとりを見てわかる通り、そもそもこちらのツイッターに興味がある訳ではない。
フォローリクエストを送ることで、何かしらの圧力をかけようという意想を読み解く事ができるだろう。
このアカウントの主は「ハンバーガー大学」の入口で撮った写真を掲出している。ここはマクドナルド本社の中にあるので、一般人が道端で撮れるものではない。
つまり、この者はマクドナルドのマネージャーという事だ。

他方でこういう書き込みもある。

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文中「アンチ」と揶揄しているのは、遠回しな表現だが、私のことである。
そして、「店の評判が良くなかった」とか「意見が合わない」という理由で客をアンチ呼ばわりする発言に仰天した。
ちなみに、このアカウント主の人定はできているが、配慮して店のことをSNSに書いてはいない。

そして私が一番驚いていることは、マクドナルドのユニフォームを着用した画像を掲出し、このような客に対する、ある種の嫌がらせ行為を行う神経である。
ちなみに、フォローリクエストを乱発する先のマクドナルドクルーとは、お店に行った事もなければ、会った事も無い。見ず知らず、ただマクドナルドの客というだけで、ネットに客を嘲笑う書き込みをユニフォーム姿でして、他のマクドナルドクルーに個人攻撃を誘発する。
特筆すべきは、ユニフォームである。
黒いユニフォームは、マネージャーのみが着用するものだ。マクドナルドではスウィングマネージャーと言い、時間帯責任者、つまり「店長代理」である。
それだけ責任ある立場の者がツイッターでそのような発言をすれば、あたかもマクドナルドを代表しているかのようにも見えるし、堂々と客を貶す行為自体が、雑談ではなく企業の姿勢としてそれが世の中に映るのではないかということだ。

お客様とて許せぬ

映画「千と千尋の神隠し」湯婆婆が発したセリフだが、客が全てではないし、正しいとも言えない。そういう意味では、「お客様は神様」という理念について私もそうではないとは思っている。
しかし、どんなに客が間違えていたとしても、それをネットで貶しても良いという事はない。況してや、管理者として制服を着用し、その立場でやってしまうと、見る人によっては「どうしようもない店長だな」とか「マクドナルドって客よりも偉いんだな」という感情を持たれても仕方ないだろう。

自分が働いている会社への忠誠心、愛着、情熱があるのは素晴らしい。
しかし、そこにも「売り手が買い手を超える」落とし穴がある。
加熱した社を愛する精神は、盲目さを引き起こす。
一つの見立てとしては、「ポジティブ教育の結果」が言えるだろう。
意見を言うことは即ち「アンチ」という表現になる。
会社員たるもの、時として本音の議論も交わす。
良いね、凄いね、そんな言葉だけでは未来が無いし、現実を知る事はない。
考えることをやめた瞬間、退化は始まっている。
「アンチ」という表現こそが、進化することを放棄した台詞だ。

※「過剰な社への愛着心」については次回もうひとつ記事を書くことにする。

最後に、もう一つ大事なことを書く。

「売り手が強い」という体制は高効率経営に客が「従う」こと。
しかし、その高効率で、いちばん参っているのが労働者だと私は思う。
だからこそ先に示したように、SNSでの言論も、過去最高潮に悪化の一途を辿っている。
昔から「マクドの仕事は楽しい」と従業員は言い合ってきた。
ほんの少し前までは、ネットを見ていても、業務的な「愚痴」を書くものは少なかった。しかし、今となっては大変な状況だ。
大きな売上利益のために現場は走り回り、結果会社は狂喜乱舞。
しかし、みんな疲れている。
そしてそれを発散できる相手、場所がない。
本来であれば、クルーの悩みを聴くべき立場の者が、先に示したとおりだ。
個人攻撃に喜びを見出すというのも、その延長線上にあるものではないだろうか。
ストレスを発散するという行為は、決して良い発言には繋がらない。
もっとも、責任含め、最終的には本人に帰属する問題だからこそ、最低限のモラルを持ち合わせなければ、理由はどうあれ単なるバカッターになってしまう。
そしてバカッターに成り下がると、もう二度とその愛して止まないマクドナルドで働けなくなるだろう。

売り手の心が荒むことは、買い手にもあらゆる形で届く。
それが緩和しない限り、本当のスマイルは帰ってくることはない。

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ありがとう、って言ってもらえた回数をこっそり数えてる。
果たして今、こんなことで、「ありがとう」って言ってもらえるのだろうか。

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